ちひろ美術館で開催されている茂田井 武展に行きました。
茂田井 武は宮沢賢治のセロ弾きのゴーシュの絵本で有名な絵本画家でした。
この絵本で育ったので、今回、奈良美智がつくるこの展覧会は絶対に行こうと思っていましたが、実際に行かれたのは開催終了間際です。
小さな美術館ですし、雨も降っていたので何となく気軽な気持ちで1室に入ったのですが、水彩画保存のための暗い部屋をのぞいたとたん、圧倒されました。
全てが本当に小さな作品ですが、半端な気持ちでは見られないとすぐに気がつきました。
自分でも不思議でしたが、一旦部屋を出て、何というか気合いを入れ直してもう一回入り直しました。
詩のような、音楽のような「筆の声」が聴こえてくる世界がありました。
「夢の旅人」というテーマだったことは知っていましたが、見てはじめて納得です。
創る仕事は、創る人が見たもの、関わったもの、時代などの要素が一体になるまで練り上げられていくことがわかります。
石けんもそれぞれの素材が混ざり合い、熱を上げ、液体から固体になるまでをきちんと見届けていく作業の中で、作り手の想いも閉じ込められていかれれば、作るから「創る」になるのかもしれないと思うのでした。